ご挨拶
このたび、肺音(呼吸音)研究会の新たな会長を拝命いたしました、弘前大学大学院医学研究科呼吸器内科学の田坂定智と申します。まずは、先代の長坂行雄会長をはじめとする諸先輩方が築いてこられた本研究会の歴史と伝統に深く敬意を表するとともに、この大任をお引き受けするにあたり、身の引き締まる思いでございます。
本研究会は1983年に設立され、以来40余年、医学と工学の視点を融合させながら肺音の発生機序や伝播特性、臨床応用に向けた研究を進めてまいりました。国際肺音学会(ILSA)とも緊密に連携し、1985年に東京で開催された第10回ILSAでは国際的な聴診用語の統一が図られるなど、わが国が世界の肺音研究を牽引してきた歴史は、私たちの大きな誇りであります。
ラエンネックによる聴診器の発明からすでに200年以上が経過いたしましたが、画像診断が高度化したいまこそ、ベッドサイドで瞬時に得られる聴診の価値が再認識されています。とりわけ近年は、医師のみならず看護師や理学療法士など多職種の医療従事者が呼吸ケアの現場で聴診を活用する機会が増えており、本研究会の役割はかつてなく重要になっていると痛感しております。
今後は、研究面での基盤をさらに強固にしながら、肺聴診セミナーなどの教育普及活動を一層充実させ、聴診に携わるすべての方々の力となれるよう努めてまいります。また、音響工学やAI技術の進歩を臨床にどう活かすかという新たな挑戦にも、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
会員の皆様のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げますとともに、本研究会が呼吸器診療の未来を切り拓く場であり続けられるよう、微力ながら尽力する所存でございます。
弘前大学大学院医学研究科 呼吸器内科学講座
田坂 定智