第1回 内視鏡的全層切除・縫合法研究会(報告)
第1回内視鏡的全層切除・縫合法研究会が、2019年12月22日(日)に開催され、盛会裡に終了したことをご報告いたします。本研究会は、内視鏡的全層切除・縫合法の向上と普及・発展によって内視鏡医学の進歩に寄与する事を目的とし、さらに、消化管から胆膵領域まで幅広い知識の交流を深めるために発足いたしました。お蔭様で170名の方々にご参加いただき、当番世話人、事務局よりご参加および研究会成功にご尽力いただいた皆様に心から重ねて御礼申し上げます。会の運営に際しましては不行き届きの点も多々あったことと存じますが、何卒ご容赦頂きますようお願い申し上げます。末筆ながら、皆様方の益々のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
当番世話人井上 晴洋昭和大学江東豊洲病院 消化器センター |
「第1回内視鏡的全層切除・縫合法研究会」の発足にあたって
このたび「第1回内視鏡的全層切除・縫合法研究会」を発足する運びとなりました。まずは立ち上げにご協力いただきました世話人・監事のみなさまに御礼申しあげます。内視鏡医療の現場では既にESDが一般化し標準治療となりました。これからの内視鏡治療において、ESDの次にありますのは、内視鏡的全層切除、そしてそれに伴う縫合法(閉鎖法)であろうかと思います。縫合法としては、欧米ではOverstitchが既に商品化されております。米国のStavropoulos先生は内視鏡のライブデモで胃の全層切除とOverstitchによる閉鎖を実施されておりますし、同じく米国のCantzevoy先生は大腸の全層切除をも内視鏡のライブデモでおこなわれます。このことは如何に彼らがOverstitchの臨床に自信をもっているかの現れでもあります。その一方、本邦でも、創の閉鎖法として、内視鏡的手縫い縫合法やゼオスチャーなどの器具が開発されています。今回も、日本医大の後藤 修先生、香川大の森 宏仁先生にご講演いただきます。
内視鏡的全層切除術および創閉鎖法は、消化管粘膜下腫瘍の切除のみならず、さらに「POEMの延長線上にありますPOEM+F(内視鏡的噴門形成術)」や「内視鏡的な消化管と胆管の内瘻化」なども盛んにおこなわれるようになっております。従来は外科手術でおこなわれていたものが、現在は内視鏡治療でおこなわれるようになってきました。
この領域(全層切除と縫合)は、内視鏡医の長年の夢でもあり、また課題でもあります。それがすでに商品化されたものも含めまして、今後、急速に充実・発展していくものと思われます。この研究会が、治療内視鏡をおこなっている内視鏡医の実臨床の一助になれば幸いですし、新しい手技の開発に役立てばと願っております。近未来におきまして、患者さまに今以上に高品質の低侵襲治療を提供できればと切にねがっております。
2019年12月22日
内視鏡的全層切除・縫合法研究会 代表世話人
第1回内視鏡的全層切除・縫合法研究会 当番世話人
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター
センター長・教授 井上 晴洋
日時 | 2019年12月22日(日) |
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会場 | 昭和大学江東豊洲病院 9階 講堂 |
- 【開会の言葉】 9:55 - 10:00
- 井上 晴洋 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
- 【研究会発足にあたって】 10:00 - 10:15
- 司会: 田尻 久雄 (東京慈恵会医科大学 先進内視鏡治療研究講座)
演者: 井上 晴洋 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター) - 【一般演題Ⅰ】 10:20 - 11:20
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司会:阿部 展次 (杏林大学医学部 消化器・一般外科)
糸井 隆夫 (東京医科大学 消化器内科)
- Ⅰ-① 食道ESDの術中穿孔に対するクリッピング縫縮と術後経過の関連性
東京医科大学消化器内科学分野/東京医科大学消化器内視鏡学分野 山口 隼 - Ⅰ-② 胃粘膜下腫瘍に対する漿膜下層剥離術を施行した1例
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 坂口 琢紀 - Ⅰ-③ 胆膵内視鏡消化管穿孔に対するOTSC縫縮術の経験
埼玉医科大学国際医療センター 水出 雅文 - Ⅰ-④ 消化管腫瘍に対するOver-The-Scope Clip併用EMR“EMRO”の有用性
埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科 三角 宜嗣 - Ⅰ-⑤ EFTR & C におけるMicro-ring法の有用性
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 井澤 晋也 - Ⅰ-⑥ POEMの粘膜切開部の閉鎖における糸付きクリップや留置スネアを用いた確実な縫縮法
福岡大学 消化器外科 塩飽 洋生 - Ⅰ-⑦ 抗血栓薬内服者における胃ESD後の留置スネアとクリップを用いた巾着縫合法
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 江郷 茉衣
- Ⅰ-① 食道ESDの術中穿孔に対するクリッピング縫縮と術後経過の関連性
- 【一般演題Ⅱ】 11:30 - 12:20
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司会:上堂 文也 (大阪国際がんセンター 消化管内科)
田中 信治 (広島大学大学院 医系科学研究科 内視鏡医学)
- Ⅱ-① 咽頭食道憩室に対する経口内視鏡的憩室中隔筋層切開術(Z-POEM)の有用性
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 島村 勇人 - Ⅱ-② 内視鏡的胃全層切除を行った胃消化管間質腫瘍の1例
大阪国際がんセンター 消化管内科 上堂 文也 - Ⅱ-③ 比較的大きな大腸穿孔に対するクリップ縫縮法のコツとピットフォール
広島大学病院 内視鏡診療科 岡本 由貴 - Ⅱ-④ 内視鏡的手縫い縫合法の可能性:縫合閉鎖された胃ESD後粘膜欠損部の組織学的検討
慶應義塾大学医学部 腫瘍センター 低侵襲療法研究開発部門/日本医科大学 消化器内科学 飽本 哲兵 - Ⅱ-⑤ 食道憩室に対して内視鏡的憩室切除術を行った一例
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター 西川 洋平 - Ⅱ-⑥ 胃粘膜下腫瘍に対する内視鏡的切除の展望
杏林大学医学部 消化器・一般外科 竹内 弘久
- Ⅱ-① 咽頭食道憩室に対する経口内視鏡的憩室中隔筋層切開術(Z-POEM)の有用性
- 【ランチョンセミナー】 12:30 - 13:10
- 「内視鏡的手縫い縫合法の開発と将来展望」
司会:斎藤 豊 (国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)
演者:後藤 修 (日本医科大学 消化器・肝臓内科)
(共催:オリンパス株式会社)
- 【一般演題Ⅲ】 13:30 - 14:10
- 司会:炭山 和毅 (東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座)
山本 博徳 (自治医科大学 内科学講座)
- Ⅲ-① 改良型結紮ループを用いた内視鏡的大腸全層切除術:ブタ切除大腸を用いた検討
東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座/Mayo Clinic, Developmental Endoscopic Unit 土橋 昭 - Ⅲ-② メッケル憩室翻転に対しダブルバルーン内視鏡(DBE)にてエンドループを使用しての結紮後に全層切除した一例
自治医科大学 内科学講座 消化器内科学部門 小黒 邦彦 - Ⅲ-③ Per-Oral Endoscopic Fundoplication (POEF): Application of Endoscopic Hand-Suturing Technique
Digestive Diseases Center, Showa University Koto Toyosu Hospital Akiko Ueno - Ⅲ-④ 大腸内視鏡的粘膜下層剥離術後の粘膜欠損部に対する内視鏡的手縫い縫合法のpilot試験
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 阿部 清一郎
- Ⅲ-① 改良型結紮ループを用いた内視鏡的大腸全層切除術:ブタ切除大腸を用いた検討
- 【アフタヌーンセミナー】 14:20 - 14:50
- 「内視鏡用・全層縫合器の開発・展開」
司会: 良沢 昭銘 (埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)
演者: 森 宏仁 (香川大学 消化器内科)
(共催:ゼオンメディカル株式会社) - 【閉会の言葉】 14:50 - 15:00
- 田尻 久雄 (東京慈恵会医科大学 先進内視鏡治療研究講座)
【第1回内視鏡的全層切除・縫合法研究会協賛企業】
アストラゼネカ株式会社
株式会社ウイン・インターナショナル
オリンパス株式会社
カイゲンファーマ株式会社
コヴィディエンジャパン株式会社
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
ゼオンメディカル株式会社
ゼリア新薬工業株式会社
第一三共株式会社
武田薬品工業株式会社
日本ケミファ株式会社
富士フイルムメディカル株式会社
ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
(五十音順)