第4回 内視鏡的全層切除・縫合法研究会(報告)
第4回内視鏡的全層切除・縫合法研究会が、2022年12月17日(土)にHybrid(現地開催+WEB)方式で開催され、盛会裡に終了したことをご報告いたします。お蔭様で174名の方々にご参加いただき、当番世話人、事務局よりご参加および研究会成功にご尽力いただいた皆様に心から重ねて御礼申し上げます。会の運営に際しましては不行き届きの点も多々あったことと存じますが、何卒ご容赦頂きますようお願い申し上げます。末筆ながら、皆様方の益々のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
当番世話人山本 博徳自治医科大学 消化器内科 |
当番世話人挨拶
消化器内視鏡は直接消化管内腔を観察して病変部位から生検組織をとって診断のできる画期的診断技術として発展してきました。そして内視鏡機器、技術の進歩に伴い、単に診断技術としてのみではなく、治療手技として大きく発展してきています。ポリペクトミーに始まった治療手技はEMR、ESDと発展し、その適応を広げてきました。また、POEMやPOETなどの粘膜下層や筋層までアプローチする内視鏡治療も開発されています。
内視鏡治療は開腹手術などの手術的治療と比較して低侵襲であり、患者に優しい治療と言えます。安全に同程度の治療成績が得られるのであれば低侵襲治療の方が望ましいのは言うまでもありません。
内視鏡に関する機器の進歩は目覚ましいものがあり、ますます細径で高画質のうえ十分な処置能を備えた内視鏡も開発されてきています。また、内視鏡的縫合法に関する機器や工夫もなされ、ますます進歩していくことが考えられます。
今後内視鏡治療がより発展して多くの疾患を安全かつ確実に治療していくためには確実な縫合法の確立が重要な課題だと考えられます。確実な縫合法を確立することによって内視鏡的全層切除が実用的な治療手技として確立されていくことと考えられます。
本研究会はPOEM、POETの創始者であられる井上晴洋先生の呼びかけで2019年12月から発足しました。その後、新型コロナウイルス感染拡大という障害にも負けず、1年毎の開催を続けています。前回はコロナウイルスの影響でWeb開催とせざるを得なかったのですが、今年はコロナウイルス感染の重症化率の低減といつまでも学術活動を抑制し続けるわけにはいかないという考えで感染対策を取りながら現地とWebのハイブリッド開催とさせていただきました。
内視鏡的全層切除・縫合法はこれからの内視鏡治療の方向性を決める重要なテーマだと考えています。今年もたくさんの演題をご応募いただいています。これからの内視鏡の未来のために多くの先生方の参加と活発なご議論をお願いしたいと思います。
第4回内視鏡的全層切除・縫合法研究会 当番世話人
山本 博徳
日時 | 2022年12月17日(土) Hybrid開催(現地開催+WEB) |
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最優秀演題賞
Ⅱー01 Reopenable-clip over the line method を用いた全層欠損閉鎖
野村 達磨(伊勢赤十字病院 消化器内科)
プログラム
- 【開会挨拶】10:00 - 10:05
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当番世話人挨拶:山本 博徳(自治医科大学 消化器内科)
代表世話人挨拶:井上 晴洋(昭和大学江東豊洲病院 消化器センター) - 【一般演題 SessionⅠ】10:05 - 10:45
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司会: 井上 晴洋(昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
森 宏仁(愛媛労災病院 消化器病センター 消化器科)- Ⅰ-01:Pocket-creation method (PCM)を用いて胃GISTを内視鏡的に全層切除し、内視鏡用の持針器を用いて筋層を完全縫縮できた1例
塩飽 洋生 (福岡大学医学部 消化器外科) - Ⅰ-02:胃粘膜下腫瘍に対する内視鏡的切除における内視鏡的手縫い縫合
小泉 英里子 (日本医科大学 消化器内科学) - Ⅰ-03:内視鏡的手縫い縫合法の臨床導入経験
港 洋平 (NTT東日本関東病院 消化管内科) - Ⅰ-04:大腸ESD後の創閉鎖: Loop9 の方法と成績
田邊 万葉 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
- Ⅰ-01:Pocket-creation method (PCM)を用いて胃GISTを内視鏡的に全層切除し、内視鏡用の持針器を用いて筋層を完全縫縮できた1例
- 【一般演題 SessionⅡ】10:45 - 11:25
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司会: 豊永 高史(神戸大学医学部附属病院 光学診療部)
糸井 隆夫(東京医科大学 消化器内科)- Ⅱ-01:Reopenable-clip over the line method を用いた全層欠損閉鎖
野村 達磨 (伊勢赤十字病院 消化器内科) - Ⅱ-02:STRATAFIX縫合糸と内視鏡クリップを用いた仮縫縮法
小林 真 (市立四日市病院 消化器内科) - Ⅱ-03:次世代の全層切除縫合法としての非解放式・内視鏡的全層縫合切除術(Neo-EFTR)の開発
~Twin needle ZeoSuture Mの開発進捗および新たな結紮機器ZeoKnotの開発~
森 宏仁 (愛媛労災病院 消化器病センター 消化器科) - Ⅱ-04:EFTR後に遅発性穿孔した前庭部GISTの症例-症例報告-
澤田 敦史 (横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
- Ⅱ-01:Reopenable-clip over the line method を用いた全層欠損閉鎖
- 【一般演題 SessionⅢ】11:25 - 12:05
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司会: 田中 信治(広島大学大学院 医系科学研究科 内視鏡医学)
斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)- Ⅲ-01:大腸T2癌の新規治療戦略 -AIによる、内視鏡的全層切除実現への挑戦-
一政 克朗 (昭和大学横浜市北部病院 消化器センター) - Ⅲ-02:下部直腸cT1b/T2癌に対して内視鏡的全層切除術を施行した1例
鴫田 賢次郎 (広島市立北部医療センター安佐市民病院 内視鏡内科) - Ⅲ-03:虫垂上皮性腫瘍に対する腹腔鏡補助下での内視鏡的全層切除術の経験
根岸 良充 (NTT東日本関東病院 消化管内科) - Ⅲ-04:大腸憩室内病変に対するOver-The-Scope Clip併用内視鏡切除(EMRO)の施行経験
村松 孝洋 (埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)
- Ⅲ-01:大腸T2癌の新規治療戦略 -AIによる、内視鏡的全層切除実現への挑戦-
- 【ランチョンセミナー】12:15 - 13:15
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「細径処置用内視鏡の可能性を考える」
司会: 山本 博徳(自治医科大学 消化器内科) 演者: 長浜 隆司(新東京病院・消化器内科)
三浦 義正(自治医科大学 消化器内科) - 【一般演題 SessionⅣ】13:20 - 14:00
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司会: 良沢 昭銘(埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)
福田 久(自治医科大学 消化器内科)- Ⅳ-01:食道癌術後の難治性食道狭窄に対して、内視鏡的筋層切開術を行った1例
岡田 浩樹 (福岡大学病院 消化器外科) - Ⅳ-02:多重性 Schatzki ring に対するendoscopic mucosal plasty (EMP) の一例
西川 洋平 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター) - Ⅳ-03:咽頭食道憩室におけるPer-oral endoscopic septotomy(POES)後の創閉鎖の工夫
島村 勇人 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター) - Ⅳ-04:LOOP-10: PRINCIPLE AND CLINICAL PERFORMANCE
Marc JH Navarro (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
- Ⅳ-01:食道癌術後の難治性食道狭窄に対して、内視鏡的筋層切開術を行った1例
- 【一般演題 SessionⅤ】14:00 - 14:40
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司会: 上堂 文也(大阪国際がんセンター 消化管内科)
炭山 和毅(東京慈恵会医科大学 内視鏡医学講座)- Ⅴ-01:内視鏡用クリップの把持力・牽引強度に関する机上比較試験
松井 崇矩 (香川大学医学部 消化器・神経内科 消化器内科) - Ⅴ-02:Reopenable-clip over the line method inside a submucosal pocket を用いたEFTR
野村 達磨 (三重県立志摩病院 消化器内科) - Ⅴ-03:TriangleTipKnife J NEO の有用性
木本 義明 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター) - Ⅴ-04:新たな創閉鎖法 Loop11:ARMS時の直接閉鎖(ARMS+C)への応用
汐見 大二郎 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
- Ⅴ-01:内視鏡用クリップの把持力・牽引強度に関する机上比較試験
- 【一般演題 SessionⅥ】14:40 - 15:25
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司会: 阿部 展次(杏林大学医学部 消化器・一般外科)
塩飽 洋生(福岡大学医学部 消化器外科)- Ⅵ-01:アンカーを用いた内腔縫縮LECSの豚切除胃における基礎的検討
小林 真 (市立四日市病院 消化器内科) - Ⅵ-02:胃SMTに対する内視鏡的切除後経口的摘出困難時の工夫
竹内 弘久 (杏林大学 消化器・一般外科 上部消化管外科) - Ⅵ-03:LECSにおける管腔外からの位置認識精度向上のための蛍光クリップの特殊使用
上里 昌也 (千葉大学医学部 先端応用外科学) - Ⅵ-04:当院における胃粘膜下腫瘍の内視鏡的切除法
高木 めぐみ (戸塚共立第1病院 消化器センター) - Ⅵ-05:EMD、ESSD、EFTR の中期成績と術後管理について
安藤 涼平 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター)
- Ⅵ-01:アンカーを用いた内腔縫縮LECSの豚切除胃における基礎的検討
- 【アフタヌーンセミナー】15:30 - 16:30
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「EHS(内視鏡的手縫い縫合法)の歩みとこれから」
司会: 小野 裕之(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科) - ESDのこれまでの歩みと今後の可能性
基調講演: 小野 裕之(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科) - SutuArtを用いたEHSの現状と展望
演者: 後藤 修 (日本医科大学付属病院 消化器・肝臓内科)
- ESDのこれまでの歩みと今後の可能性
- 【閉会挨拶 - 次回当番世話人挨拶】16:30 - 16:35
- 田中 信治(広島大学大学院 医系科学研究科)
【第4回内視鏡的全層切除・縫合法研究会協賛企業】
アストラゼネカ株式会社
アッヴィ合同会社
株式会社アムコ
EAファーマ株式会社
株式会社ウイン・インターナショナル
エム・シー・メディカル株式会社
株式会社大塚製薬工場
オリンパスマーケティング株式会社
株式会社カネカメディックス
杏林製薬株式会社
株式会社スリー・ディー・マトリックス
ゼリア新薬工業株式会社
武田薬品工業株式会社
田辺三菱製薬株式会社
ビオフェルミン製薬株式会社
富士フイルムメディカル株式会社
ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
医療法人楽生会 木根淵外科胃腸科病院
医療法人財団 三友会
医療法人社団中央みなと会 中央みなとクリニック
戸塚共立第1病院
医療法人横浜未来ヘルスケアシステム 戸塚共立第2病院
医療法人社団 日鉱記念病院
医療法人社団平晴会 晴海3丁目クリニック
医療法人社団高裕会 深川立川病院
(順不同)
第4回内視鏡的全層切除・縫合法研究会の開催に際し、上記の企業・団体の多大なるご援助をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。
2022年12月
第4回内視鏡的全層切除・縫合法研究会 当番世話人
自治医科大学 消化器内科
山本 博徳